かげうつし|写映|遷移|伝染|

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開催情報

  • 会期:2012年11月3日(土)– 25日(日)
  • 開館時間:11:00 – 19:00(最終入場18:45)
  • 休館日:月曜
  • 観覧料:無料
  • 会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA1,2
  • 企画:林田新
  • 主催:京都市立芸術大学、「かげうつし」展実行委員会

出品作家

  • 加納俊輔 KANO Shunsuke
  • 高橋耕平 TAKAHASHI Kohei
  • 松村有輝 MATSUMURA Yuuki
  • 水木塁 MIZUKI Rui
  • 水野勝規 MIZUNO Katsunori

関連イベント

「〈かげうつし〉から考える」

  • 2012年11月3日(土・祝)16:00 – 18:00
  • 出展作家+林田新(本展企画)+橋本梓(国立国際美術館 研究員)

講演会「サイト/パラ-サイト」

  • 2012年11月18日(日)16:00 – 18:00
  • 講師:星野太(美学・表象文化論)

「〈かげうつし〉からさらに考える」

  • 2012年11月25日(日)16:00 – 18:00
  • Blind Spot(鈴木崇+林田新(本展企画))+出展作家

趣旨文

今日、写真やビデオといった様々な映像メディアが作品として展示されることは珍しいことではありません。そうした作品は、例えば、作家の内面を写す「鏡」と世界に開かれた「窓」という、かつて写真を論じる際に用いられた二元論的な喩えではとらえきれない、より豊かな広がりを見せ始めているのではないでしょうか。展覧会「かげうつし——写映・遷移・伝染——」では、映像メディアを用いて活動を行っている五人の作家——加納俊輔、高橋耕平、松村有輝、水木塁、水野勝規——を取り上げ、映像の多様な在り方に眼を向けていきたいと思います。

その導き手として注目したいのが、私たちが写真、ビデオ、映画について日常的に用いている〈うつし〉という言葉です。それは、反射や投影といった光学現象を意味します。しかし、〈うつし〉は必ずしも映像にのみ関わるわけではありません。例えば、絵画の起源にまつわる神話として語られる、壁にうつしだされた恋人の影をなぞるコリントスの娘(プリニウス『博物誌』)や、水面にうつる自らの姿に恋をしたナルキッソス(アルベルティ『絵画論』)の物語にも〈うつし〉は深く関わっています。あるいは、型や粉本に基づく〈うつし〉は、文化の伝承や様式という概念に欠かすことのできない条件ですし、また、異文化間における相互の〈うつしあい〉は文化創出的な試みです。さらに視野を広げてみるならば、〈うつし〉は、場所・時間の〈移し〉であり、文章・事物の〈複製〉〈引き写し〉であり、〈遷幸〉〈遷御〉〈遷都〉というように「聖なるもの」の〈遷し〉、病原体など「悪しきもの」の〈伝染〉であり、ともすると、細胞分裂や遺伝という生命活動さえもそこに含めることができるしょう。加えて〈うつし〉は、不可視なものから可視的なものにかけての〈うつし〉でもよく、亡霊やモノノケの〈のりうつり〉、神仏など形無きものがはっきりとその姿をあらわすことを指す〈顕現(現(うつ)し/顕(うつ)し)〉、この世ならざる世界や夢に対する〈うつし世〉〈うつしおみ〉——ただし、ときに〈ゆめうつつ〉といった言葉が示すように、両者は明確に区分されるわけではありません——をも含むのです。

このように、私たちが日常的に映像について用いている〈うつし〉という言葉は、極めて豊かな多義性を帯びています。〈うつし〉という言葉の豊かな含みを踏まえたうえで、あらためて映像へと立ちかえり、その言葉を作品の傍らに添えて見る時、そこには新たな映像の在り方が様々に立ち顕れてくるのではないでしょうか。